2016年10月9日日曜日

第5回口頭弁論期日~法廷における原告の訴え①~準備書面(5)推定年間被ばく線量及び土壌汚染状況について

南相馬20ミリシーベルト撤回訴訟 第5回口頭弁論期日
~法廷における原告の訴え~
準備書面(5)推定年間被ばく線量及び土壌汚染状況について
平成28年9月28日
原 告  小 澤 洋 一

私は原発事故の当初からふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクトの共同代表として,南相馬市の放射線量を測定して参りました。原告準備書面(5)は,ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクトが測定を行った空間線量率及び放射性物質による土壌中の汚染密度を元にして作成された書面ですので,測定に携わった私から直接その内容をご説明させていただきます。
原告準備書面(5)第1は原告らの事故時住居における空間線量率の測定値を分析した結果についての考察です。ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクトは平成27年4月から約7か月間をかけて,原告らの事故時住居を世帯ごとに回って空間線量率を測定しました。国は,特定避難勧奨地点の指定時及び解除時には,玄関先と庭先の2点のみで測定を行いました。しかし,原告らは玄関先や庭先だけで生活しているわけではなく,居住地全域を生活圏としているのが実態です。そこで,私たちは生活実態に即して居住地における生活圏内を網羅的に測定しました。原告の承諾が得られた場合には,建物内部の空間線量率の測定も行いました。準備書面(5)には,こうして得られた数値や遮蔽係数から,原告らの推計年間被ばく線量を計算した結果が記載されています。同書面の表をご覧いただけば,ほとんどの原告が,年間1mSvを上回る被ばくをしていることが分かります。国は,年間20mSvを基準として特定避難勧奨地点の解除を行いましたが,年間1mSvという数値は,公衆の被ばく限度とされている数値です。そのような数値の被ばくをしている原告らに将来どのような影響があるか心配でなりません。もしも健康被害が出るようなことになれば何故あのとき避難できなかったのかと悔やんでも悔やみきれません。なお,これらの推計年間被ばく線量には,通勤通学や土手,山林,田畑などの維持管理作業による被ばくは含まれておらず,それらの数値を考慮すれば,実際の原告らの被ばく線量はさらに高い数値となるものと考えられます。

準備書面(5)第1では,指定世帯と非指定世帯の推計年間被ばく線量の比較も行っています。年間1mSvから年間3.5mSvまでの推計年間被ばく線量の世帯の割合は指定世帯も非指定世帯もほぼ同じであり,非指定世帯の中にも年間3.5mSvを超える高い線量が推計された世帯もありました。これらのデータから指定世帯と非指定世帯の間には実際にはほとんど差異がないことは明らかです。なお,2011年7月以降,私は地点指定の際の各世帯の測定にも多数立ち会っていますが,地点指定時においても,同じような状況であったことを申し添えます。

準備書面(5)第2は原告らの事故時の住居の土壌汚染密度を分析した結果についての考察です。書面にも記載がありますように,国の放射線管理区域に関する基準は1平方メートルあたり4万ベクレルです。放射線管理区域に該当すると,その場所での飲食や睡眠,10時間以上の滞在が禁止されたり,肌の露出を防ぐ防護装備の着用が義務付けられたり,立ち入りにあたって放射線障害の防止に関する教育や,健康診断が行われたりと,日常生活では考えられない厳しい制約があります。ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクトの測定の結果,現在も,約9%の原告らの事故時住居に放射線管理区域の基準を超える汚染密度の土壌が存在することが明らかとなっています。国は,特定避難勧奨地点の解除によって,土壌が汚染されていることの説明すらしないままに,原告らに深刻に汚染された土壌が存在する場所への帰還を促しています。なお,環境中の放射能汚染は,不均質であるために,私たちが測定した土壌汚染密度は敷地内の平均値を示すものではなく,各世帯の敷地内に私たちが測定した数値よりも高い数値を示す土壌が存在することもしばしばあります。
以 上


2016年10月1日土曜日

カンパのご報告

9月28日の第5回口頭弁論期日には、たくさんのみなさまにお集まりいただきありがとうございました。
報告集会にて、35,198円のカンパが集まりましたこと、ご報告いたします。
原告団への交通費として、支援の会からのお金を足して、60,000円をお支払いしました。
たくさんのカンパをありがとうございました。